東京の中心でとりあえず叫ぶ

世の中に息苦しさを感じている、20代男女の本音をポロリ

『夫のちんぽが入らない』という衝撃の実話

おひさしぶりです。

Amazonで事前予約して、やっと全部読み終わったこの本。

◆衝撃の5刷り、「ちんぽ」旋風

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だいぶ衝撃的なタイトル。しかし、意外にタイトル以上に色々な社会問題を含んでる本で、ぐいぐい引き込まれてしまいました。この手のエッセーのような本ではかなり楽しかった。5段階なら、4.5かな。(ちなみにエッセーで1番オススメなのは朝井リョウの『時をかけるゆとり』。マジで笑えます)

 

ネタバレも何もなく、タイトルのまんまなのだけど、著者は、夫以外の人とは性交ができるのに、夫以外とはなぜかできない。

しかし、そのまま結婚し、(事情をしらない)周囲からは「30超えても子供はできるよ!」と励まされたりする。

著者と夫は共に教師で、部活の時間外労働や、非行の子供を警察に深夜にひきとりにいったり、ご飯を作ったりしている。

挙げ句の果てに学級崩壊で担任イジメにあい、精神を2人とも病んでいく。

◆社会問題を描いているのが面白い

自分が元気がないとき、まさに「生命力が下がってる」とかに読むと、引き摺り込まれてしまう本だけれど、普通以上の時に読むと、普段は持たない視点に触れられる良書。

なにより、一文一文がとても素直で、変な飾り気(カッコつけ)がない。そして、ストレートに自分を表現しているなぁ、と。

 

宗教団体にはいっていて、滅多に会えない親子。子供はいても、出会い系サイトに登録して日々女を漁るオジサン。そんな知らない人とでも、「体を重ねる」ことで自分の存在意義を見出す著者。

 

セックスって、究極の自己承認だと思う。もちろん、愛のあるナシはあっても、裸になって、無防備すぎる状態で自分をただ、受け入れてもらう。相手を受け入れる。

たとえば、初めて会った人でも、性善説なような「なにか」がなければできない行為。そして、それによって場合によっては、愛とか、自己承認とか、とにかく物理的に凹凸をガッチャンコする行為で、心の溝も埋める。

◆知らない人とのセックスで埋める溝

もちろん、知らない人との行為はふとした瞬間我に返って、「何しているんだろう」となるとおもうのだけど、とにかく何かで埋めないと壊れてしまう時ってあるのだと思う。初めてあった人ではないにせよ、昔の自分にも「このまんま壊れてしまえばいい」なんて思いながら行為をした、そんなときがあったなぁって10代の自分を振り返った。

 著者は、家族の関係もあまりよくなかったみたいで、親に認められることがなかった。本書の中にも「親が帰ってこないで、食べ物がなく、窃盗という非行に走る子」とかが出てくる。モノは沢山増えて豊かになっても、決して埋まらない心の豊かさ。

 

生々しいタッチで、特に社会問題を語ろうとしているわけではない、けれども結果的に著者をとおして語ってしまっているという点が本書の一番の面白さでした。

世の中に閉塞感を感じている人、他人の心をのぞいてみたい人にオススメです。

 

 

夫のちんぽが入らない

夫のちんぽが入らない